わりきりマネジメントby俣野成敏 を読んで②

先日、おすすめ本で紹介してもらった本です。

 

この本は「やりくりマネジャー<わりきりマネジャー」を目指そうと述べられています。

 

わりきりマネジャー:仕事の焦点を絞り、最初の労力で120%の成果を生むマネジャー

 

著者は、1人当たりの仕事量が増えるマネジャー(中間管理職)の人たちは、時間や労力を「やりくり」して、全部をこなそうとして、仕事を増やしてパフォーマンスを落としている、と述べています。

 

「仕事を増やす努力よりも、減らす努力」

 

「やらなくていいものはやらないと決める」

 

合言葉は、「やりくりマネジャ-ではなく、わりきりマネジャー」

 

今回、読書評の続きを書いていきます。

 

前回の記事はこちら http://harajinjapt.info/2019/02/13/post-749/

 

 

自己意識のわりきり

名選手は名監督にあらず

優秀な選手が監督としても優秀であるとは限らない、という意味であるようです。

 

著者は、その理由を2つあげています。

 

1.プレイヤー時代の経験にこだわりすぎ、監督になってもプレイヤーをやりたがるため。

選手の自主性を重んじず、「自分がプレイしている姿から学べ」とやってしまいます。選手は育たず、監督の限界がそのままチームの限界になってしまうとのこと。

 

2.自分が卒業したポジションにばかり目がいってしまうため。

野球を例に例えられています。例えば、元ホームランバッターが監督になったとして、自分と同じホームランバッターにばかり目がいってしまうと強いチームを育てられません。

 

あるいは、まったく異なる資質を持つプレイヤーの集まりなのに、全員にホームランの打ち方を教え込もうとする、これではチームのバランスが悪くなります。

 

これらの2つの理由を1言でまとめると、「プレイヤー時代の栄光を捨てられないでいる」ということだそうです。

 

監督になったら、監督のピークを目指すはずなのに、選手時代のピークにいつまでもスポットライトを当てている。

 

マネジャーであれば、マネジャーのピークを目指す。

 

著者のメッセージ

未来志向の考えによって立つならば、人生のピークは「人生の最後」がベストではないか?僕はそう思うのです。

わりきりマネジメント/俣野成敏 P59引用

 

プレイヤー時代の自分を「クビ」にできたら、マネジャーとして本当のキャリアがスタートします。もしそれに抵抗があるなら、マネジメントの入り口に立った時に、マネジャーではなくプレイヤーの道を極めたいという意向をしっかり会社側に伝えた方が双方のためです。

わりきりマネジメント/俣野成敏 P60

 

組織、部署全体から自分を俯瞰して、自分の役割を考え、プレイヤーではなくマネジャーとして、わりきるということでしょうか。

 

そして、ピークを目指すって言葉、良いですね。

 

WE発想

2種類のマネジャーがいるようです。

 

「手柄を横取りしたがるマネジャー」

「自分と部下を含めたチームの手柄を大事にするマネジャー」:わりきりマネジャー

 

手柄を横取りしたがるマネジャーは、「IとYOU発想」にとらわれています。YOUは、「私以外」という意味があるようです。つまり、「私と私以外」が対立関係、利害が相反している状態、どちらかが得をすればどちらかが損をする、と考えているため、部下の手柄をゆるすことができないようです。

 

対照的に、わりきりマネジャーは「WE発想」であるようです。自分が手柄を上げた時も、「俺がやった」ではなく、「やったね、俺たち」と喜ぶのだそうです。

 

プレイヤー時代は自分のことだけ考えていればよかったものが、マネジャーになると部下のパフォーマンスを最大化することに没頭しなければならない、部下の活躍こそマネジャーの成果。

 

著者のメッセージ

すべての手柄は、部下のものであり、チームのもの。それを我が物にしようとするマネジャーは、明らかにIとYOUが対立しています。そのチームをマネジメントしているのは自分。だから自分も嬉しいし、評価されることもわかっている。そういう感覚を養う必要があります。

わりきりマネジメント/俣野成敏 P72~73

 

サラリーマンの悩みは「時間がない」ことです。時間をお金に換える職業ですから、仕事をすればするほど時間は減っていきます。給料を上げようと思ったら、労働時間を増やすか、時給を上げるかのどちらかです。その点、マネジャーは自分のチームの労働時間を有効に活用することで、実質的な労働時間を増やすことができます。そして、チームとしての評価が自分の時給にも反映されていくという流れです。

わりきりマネジメント/俣野成敏 P74

 

チーム全体のパフォーマンスを考え、わりきりマネジメントで皆の手柄を、結果を考え、結果チーム全体のパフォーマンスがあがればマネジャーの評価も上がる。

 

「We発想」、凄く良いですね。

 

人の芯とは何か?

「2WCH」という、著者が作った言葉があります。

 

Why・Want・Can・Howの頭文字をとったものであるようです。

 

Why…信念。言い換えれば、「なぜそれをやるのか」

Want…願望。これは「自分は何をしたいのか」

Can…可能性であり「実現できるかどうか」

How…方法。「どうやればいいか」

 

 

デキない人は下から攻め、デキる人は上から攻めるようです。

 

悩み多き人たちは、Howの部分、方法論から知ろうとする、「どうしたらできるのか」といった、ノウハウコレクターであるといいます。

しかし、ノウハウを集めた後、次に「できるかできないか」で思い悩みます。そして、「自分はどうしたらいいのだろう?」「自分はなぜ、それをしたいと思うのだろう?」といった疑問に答えることが出来ず、いくらノウハウや才能があっても、実行に移せない、と著者は述べています。その理由を、挑戦を後押しする願望や信念がないからである、と述べています。

 

対照的に、デキる人は上の2つのWを大事にするようです。デキる人には強い信念(Why)があり、願望(Want)があり、この2つのWこそ、人間の芯であるようです。

 

著者メッセージ

信念がある人は、何があっても一喜一憂しません。自分が何をするべきかわかっているので、誰かに嫌われたり、人間関係のトラブルに見舞われたところで、たいていのことは「ま、いっか」と笑い飛ばすことができます。

自分の得意不得意、強み弱みも、しっかり見えています。時代が変わっても、活躍の場をしっかり確保できるでしょう。

わりきりマネジメント/俣野成敏 P92

 

信念を持つ、そのためにはWhyとWant、「なぜそれをやるのか」「それをしたい」を念頭に考える。

 

 

人材育成のわりきり

2:6:2の法則

あらゆる組織は、優秀な2割、普通の6割、あまり働かない2割のメンバーに分かれます。

 

この法則をわりきりマネジメントに落とし込むと、

上位2割のハイパフォーマーは「放置」

中位6割のミドルパフォーマーは「教育」

下位2割のローパフォーマーは「認知」

 

上記、2:6:2での戦略でマネジメントを行うそうです。

 

その理由を、著者はこう述べています。

あらゆる悩みに共通するのは、「基準がない」ということです。反対に、悩みがない人には基準があります。基準があるから、ズレがよく見え、また基準からどれくらいズレているか、測ることができるのです。すると、ズレの修正も容易。基準とはズレを図る物差しのことだと言い換えてもいいでしょう。

わりきりマネジメント/俣野成敏 P105

 

部下を持った時、経験も資質も、スキルもバラバラ、パフォーマンスもバラバラであり、基準を設けるために「2:6:2」で振り分けます。

 

 

2:6:2の法則 2つの軸・4象限のマトリクス

基準を設けるために「2:6:2の法則」にて仮説立て、部下を分けてわりきりマネジメントします。

 

その基準は、「仕事ができる・仕事ができない」だけであり、もう一つ重要な、「やる気あり・やる気なし」の基準も作り、この2つの軸で考えるといいようです。

 

図式化すると…

 

わりきりマネジメント/俣野成敏 P137参考に作成

 

このマトリクス右上は「仕事ができて、やる気がある人」であり、上位2割に該当する人にあたります。

 

この人たちは、「放置」であり、心がけることは「ブレーキをかけないこと」だそうです。

 

対角線上のマトリクス左下は、「仕事が出来なくて、やる気がない人」であり、下位2割に該当する人にあたります。そのため、「放置」ではなく、「認知(監視)」のマネジメントを行います。日々の業務に細かくチェックポイントをもうけます。

 

そして、中位6割(左上と右下)は、2つのタイプに分かれます。

 

マトリクス左上が「仕事はできるけど、やる気がない人」

マトリクス右下は「仕事はできないけど、やる気がある人」

 

著者は、より期待できるのは「仕事はできるけど、やる気がない人」と述べています。未成熟だが潜在能力を秘めた「金の卵」であり、焦らず機が熟すのを待つ、「待機」のマネジメントを行うようです。

 

そして、もう一方の「仕事はできないけど、やる気がある人」は、「諸刃の剣」と述べています。やる気を買って仕事を任せると、大変なことになり、「教育」によって仕事の質を高めていくことが先決であるようです。

 

このどちらのタイプの中位6割のタイプであり、「教育」が必要であるが、その方法は2種類あり、同じように教育してはいけない、それぞれやり方を変える必要性があるようです。

 

「仕事はできるけど、やる気がない」部下は、金の卵だと思い、大きく育てるつもりで教育する

実務面よりも考え方、モチベーションに対する教育が中心になるでしょう。

 

「仕事はできないけど、やる気はある」部下は、諸刃の剣。「落ち着け」と手綱を締め、まず実務を学んでもらうように教育するようです。

 

著者のメッセージ

やる気のある部下はかわいいものですが、そこは「実力第一」とわりきる。やる気はないけど、能力のある部下こそ、「君!」と指名します。やる気だけで平面的に人材を見ていると、評価を誤ります。もちろん、やる気があるに越したことはないのですが、「仕事が出来る・できない」と合わせて判断することを忘れてはいけません。

わりきりマネジメント/俣野成敏 P140

 

 

マネジメントにおいて、大きく分け、その特性や能力においてマネジメント方法を変える。

 

2:6:2の法則の中でも、両極端の2割ではなく、中間の大多数を占める中位6割の分け方、マネジメントの違いなど、中間管理職の上司の気持ちを理解する、自分が管理職になったらこのように考えていけばいいのか、という気付きと学びをもらえる1冊でした。

書評

Posted by YK