はじめの一歩を踏み出そう②byマイケル・Eガーバー原田喜浩訳

とても良い本を紹介して頂きました。

 

読んでほしい人

・専門職である“職人”タイプの人で、起業を目指している人

・起業するために必要なものは何か、「入門書」として活用したい人

・“ビジネス”とは何ぞやと思っている人

 

著者が経営コンサルタントとして関わってきた、多くの経営者が間違っている方法、“失敗の原因”を挙げ、そこから“成功のカギ”、“成功するための7つのステップ”について3部パートに分かれて説明されています。

 

著書内では、パイを作って起業した「サラ」という女性が起業した苦労、何が上手くいっていない原因かを、著者との対話形式で読み進めることができ、一人の女性のストーリーを読み進めていくような、小説ではないですが普通のビジネス書とは違った読みやすい内容となっております。

 

前回の記事はこちら

 

今回、読書評の2部パート、「成功のカギ」について書いていきます。

 

著書URL

 

成功へのカギ

フランチャイズに学ぶ「事業のパッケージ化」

 

事業のパッケージ化:収益を生み出す事業を定型化して、パッケージにすること

 

このアイデアの生みの親は、マクドナルドであり、マクドナルドの成功はこの戦略のおかげである、と著者は述べています。

 

マクドナルドの育ての親、“レイ・クロック”は、1950年代に、マクドナルド兄弟が経営するハンバーガーショップに入り、その効率的で品質のばらつきが少ない“仕組み”を見て、独占的にフランチャイズを展開する権利を手に入れ、その後世界最大のファーストフードチェーンを築き上げたそうです。

 

フランチャイズという制度は元々あったが、対象は“商品”であり、このレイ・クロックが行った事業のパッケージ化という発想、対象を“仕組み”としたことが大きな功績です。

 

何を売るかではなくどのように売るか、ハンバーガーではなく事業そのものに価値を見出したことが「事業のパッセージ化」になったようです。

 

著者のメッセージ

この本のテーマは、スモールビジネスを成功に導くことであって、フランチャイズビジネスを分析することではない。またフランチャイズビジネスを勧めているわけでもない。しかし、私はスモールビジネスを成功に導くヒントが、「事業のパッケージ化」の中に隠されていると考えている。 P107引用

 

「事業」の試作モデルをつくる

 

フランチャイズビジネスの成功、それは商品を販売する前に試作モデルをつくるように、事業にも試作モデルをつくるという考え方を取り入れたから、であるようです。

 

「顧客が望むものを提供しながら、どのようにして収益を確保するのか?」

この質問に対する答えが、試作モデルであるようです。

 

そして、マクドナルドでは、フランチャイズ化して、モデル店舗の中であらゆる問題の対処方法が検討され、アップデートする中で、個人の能力に依存しなくてもすべてがうまくいくような仕組みが作られたそうです。

 

この事業の試作モデル、マクドナルドが例に挙げられましたが、ウォルトディズニー、ケンタッキー・フライドチキンなど、独自に完成度の高い運営システムを持っている会社はたくさんあります。

 

こう考えると、成功している事業のほとんどは、フランチャイズ展開しても成功する可能性をもっている、なぜなら独自の運営システムは、他の場所でも成功する可能性が高いからです。

 

どのような事業の試作モデルを作るのか?

どのような仕組みで収益を出すのか?

どのようなシステムで運営していくのか?

どうやって他人に任せてもうまくいくような仕組みを作るのか?

 

これらを考えること、すなわち事業の試作モデルを考えることが、成功のカギであるようです。

 

事業の試作モデルに必要な六つのルール

著者のメッセージ

「あなたの事業は、あなたの人生ではない」

事業とは、それ自身が目的とルールをもっている独立した生き物のようなものであって、決してあなたの一部ではない。そして生き物である以上は、生命力の強さ-顧客を見つけ出し、顧客との関係を維持する能力の強さ-によって、寿命が決まるのである。あなたの人生の目的は、事業と言う生き物に奉仕することではない。反対に、事業と言う生き物は、あなたの人生に奉仕するはずである。

 

と述べています。

 

事業を行う上で、マクドナルドのように全国に展開する、言い換えればフランチャイズビジネスの真似をする、事業の試作モデルを作るには、次のようなルールを守らなければならないようです。

 

①顧客、従業員、取引先、金融機関に対して、いつも期待以上の価値を提供する。

②必要最低限の能力でもうまく経営できる。

③秩序立てて組織が運営される。

④従業員の仕事内容はすべてマニュアルに記載されている。

⑤顧客に対して安定した商品・サービスが提供される。

⑥建物や設備、制服についてのルールが定められている。

①顧客、従業員、取引先、金融機関に対して、いつも期待以上の価値を提供する

この“価値”という言葉、業種やビジネスモデル、ペルソナがどうであるかなど、提供するサービスやモノでも顧客ニーズによっても変わります。

 

自分が行う事業で、周囲に対してどんな価値を提供できるか、これが事業の存在理由です。

 

ある事業が成功を収めているなら、それは提供するべき価値とは何なのかをきっちりと理解しているからです。

 

②必要最低限の能力でもうまく経営できる

割り当てられた仕事をこなすのに必要な、最低限の能力さえあれば良い。大事なことは、どうすれば個人の能力に頼らなくても顧客の期待を満たすことができるのか、どうすれば人ではなくシステムに依存した事業を作ることができるのか?を考えることです。

 

専門家依存型ではなくシステム依存型の事業を作れるか、またどうすればシステムの中にその能力や経験を組み込むことができるのか?平凡な従業員がいつも非凡な結果を出せるようなシステムをつくろうとする、など“仕組み”にフォーカスして疑問を持って取り組むことが重要であるようです。

 

「偉大な事業とは、非凡な人々によってつくられたものではない。平凡な人が非凡な結果を出すからこそ、偉大なのである。」P121

 

③秩序立てて組織が運営される。

秩序ある組織では、経営者も従業員も何をするべきなのかを知っている。

 

秩序ある組織では、顧客に対しては「私たちのサービスを信頼してください」と、従業員に対しては「会社の将来は明るいものですよ」と言うことができる。

 

秩序ある組織では、全体がきっちりと整理されているのである。

 

④授業員の仕事内容はすべてマニュアルに記載されている。

相対的な基準が必要で、「この場合はこうしなさい」という文書は、その基準となるものであり、最も効率よく、最も効果の高い仕事の進め方が書かれている。新人もベテランのこのマニュアルに従うことになる。

「多くの人々にとって仕事というものは、給与をもらうこと以上に、心理的な重要性を持つものである。時間と労力への対価を明確にすることで、仕事以外お生活も安定する」

 

個別の業務について、仕事の目的、作業の手順、その結果を評価する方法が明確に書かれていなければならない。マニュアルとは、これが積み重ねられたものです。

 

マニュアルなしには、事業の試作モデルを試作モデルと呼ぶことはできない、と著者は述べています。

⑤顧客に対して安定した商品・サービスが提供される

秩序ある事業では、いつも安定したサービスが提供されなければいけません。著者の体験談の例にすると、

・ある床屋に行って、理容師が最高のカットをしてくれた。そのサービス(品質)の流れは、

シャンプー⇒カット(バリカン未使用)⇒コーヒー(お代わりも可能)であった。

・初回で満足し、2回目の来店。その時のサービスは、1回目と違い、

シャンプーなし⇒カット(半分はバリカン使用)⇒コーヒー(お代わりなし)

・3回目の来店、その時のサービスは、

カット(バリカン未使用)⇒シャンプーあり(しかしカットの後)⇒コーヒーなし

 

著者は、「カット(技術)」に対しては、満足していたが、「もうあの店にはいくまい」と思ったようです。

 

その理由を、毎回のサービスに一貫性がなかったことをあげている。

 

最初のカットで得られたサービスにより満足し、次回も同じようなサービスを期待し、2回目も同じ店に行ったにもかかわらず、理容師は顧客へのサービスを変えていた。

 

「顧客の気持ちにどのような影響を与えるか?」

「顧客がどのようなニーズを求めているのか?」

 

品質の統一、一貫性の重要性が学べます。

 

⑥建物や設備、制服についてのルールが定められている

マーケティング研究では、消費者は売り場で目に入ってくる商品の色や形に強い影響を受けることがわかっている、と述べています。

 

どんな色・形に強く反応するかは消費者によってまちまちであるようです。会社のロゴや店の内装の色、デザインの重要性も説いています。

 

顧客の目に触れる部分の色はすべて、科学的に決定されなければならない。このルールは、壁、床、天井、自動車から、納品書、従業員の服装、ディスプレイ、看板に至るまで徹底されるべきものであると述べています。

 

また、形の重要性について、あるテストでは同じロゴの入った商品、ロゴの形が円形なのか三角形なのか、売り上げが変わったようです。

 

事業の試作モデルを作る段階では、看板やロゴ、名刺の書体など売り上げに大きな影響力をもっているものに対しては、慎重な検討が行わなければならない、と述べています。

 

成功のカギ、試作モデルに必要な6つのルール、まとめ

 

著者より、おさらいとして以下述べられています。

「他の人に任せてもうまくいくような事業を作ろう」

 

「どこでも誰でも、同じ結果が出せるような事業の試作モデルを作るところから始めよう」

 

「事業とは、あなたとは独立した存在だ。それはあなたの努力の成果であり、特定の顧客のニーズを満たす機会であり、あなたの人生をより豊かにする手段である」

 

「事業とは、多くの部品から構成されたシステムであり、ライバルとは明確に差別化されたものであり、顧客の問題を解決するものである」

 

 

自分への矢印として、自分自身へ次の質問を常になげかけるように述べています。

 

・どうすれば他の人に任せても、事業が成長するだろうか?

・どうすれば自分が現場にいなくても、従業員は働いてくれるだろうか?

・どうすれば事業をシステム化できるだろうか?システム化された事業では、五千か所に店を出すとしても、一ヵ所目と同じことを繰り返すだけで、スムーズに出店できるはずである

・どうすれば自分の時間を確保しながら、事業を経営できるだろうか?

・どうすればやらなければならない仕事に追われることなく、やりたい仕事に時間をあてることができるだろうか?

 

 

“職人”の一面だけではなく、“起業家”、“マネージャー”の面でも、事業を考えなければいけない、“職人”と事業を一体化せず、自分と事業を分けて考え、“仕組み”について事業を考えなければならない、重要であることを述べています。

 

良い“気付き”を得られる素晴らしい本です。

 

次回、また続きを書いていきます。

書評

Posted by YK