はじめの一歩を踏み出そうbyマイケル・Eガーバー 原田喜浩訳

とても良い本を紹介して頂きました。

 

読んでほしい人

・専門職である“職人”タイプの人で、起業を目指している人

・起業するために必要なものは何か、「入門書」として活用したい人

・“ビジネス”とは何ぞやと思っている人

 

著者が経営コンサルタントとして関わってきた、多くの経営者が間違っている方法、“失敗の原因”を挙げ、そこから“成功のカギ”、“成功するための7つのステップ”について3部パートに分かれて説明されています。

 

著書内では、パイを作って起業した「サラ」という女性が起業した苦労、何が上手くいっていない原因かを、著者との対話形式で読み進めることができ、一人の女性のストーリーを読み進めていくような、小説ではないですが普通のビジネス書とは違った読みやすい内容となっております。

 

今回、読書評の前半を書いていきます。

 

 

 

「はじめの一歩を踏み出そう」とは、どのような本?

世界20ヵ国で翻訳され、100万部を超えるベストセラーであり、アメリカ・ビジネス誌「lnc.」が行った成長企業500社のCEOへのアンケートでビジネス書No1に選ばれたようです。

 

著者のマイケル・E・ガーバーさんは、スモールビジネス向けの経営コンサルティングをされており、20年間で25000社以上のスモールビジネスについてアドバイスをおくってきたようです。

 

著者のメッセージ

『私は20年間にわたって、スモールビジネスが経営を改革するための支援を続けてきた。この本はスモールビジネスの経営にたずさわっている人、そしてこれからたずさわろうとする人のために書いたものである P17引用』

 

初めて聞いたキーワード、“スモールビジネス”って何かな?と思い調べてみました。

 

スモールビジネス…企業の一形態。これは優良な中小企業やベンチャー企業を呼ぶ新たな名称である。近年になってから人材派遣やソフト開発などを行う中小企業やベンチャー企業が増大してきており、その中に存在する規模は小さいものの優良な企業のことがスモールビジネスと呼ばれている。 Wikipediaより引用

 

小規模のビジネスであり、名前を聞いてイメージできるラーメン屋や治療院、美容室など、地域に根差した事業が当てはまりそうですね。

 

著者のメッセージ

『20年間の経験から、私はスモールビジネスを経営することの難しさを知っているつもりだ。経営者は一生懸命頑張っているのに、会社の業績は低迷し、十分な収益を確保することが難しい。これが大半のスモールビジネスの現状ではないだろうか?こうなってしまうのは、経営者の努力不足のせいではない。努力の方法が間違っているからである。その結果、大半のスモールビジネスは倒産、廃業に追い込まれている。P17引用』

と書かれています。

 

2001年に書かれた、少し古い本になりますが、

「昔はこういう企業が失敗していたのか!」という歴史背景や、

「失敗の歴史があって、今細分化された組織図やPDCAサイクル、仕組みやシステム化が行われているのか!」

など学ぶことができました。スモールビジネスで起業を目指す方にとっては、とてもタメになる本ではないかと思います。

 

 

起業して失敗する原因

まず一つ目は、「起業家の神話」がキーワードです。

 

〇起業家の神話

メディアによって、一部の起業家のサクセスストーリーの紹介、苦難を乗り越え成功を勝ち取る、のような内容で起業家のイメージは美化されています。

 

著者はこれを、「起業家の神話」といい、根拠のない幻想に惑わされている、神話は幻想にすぎないのであると述べています。

 

ある日突然に理由もなく、起業熱に取りつかれてしまう、きっかけとしては様々な理由があるようです。

 

起業熱の予兆として、

「上司に嫌気がさしたから」

「どうしてあんな上司のために働いているのだろう?と思ったから」

「誕生日をきっかけに起業した」

「子供が高校を卒業したのを機に起業した」

など、様々な理由で起業を志す人が多いようです。

 

ただ、起業熱を持つ人達で、陥る罠があるようです。それは、「誤った仮定」をもつことであり、起業して苦難の道を行く人達はこの誤った仮定が致命的に間違っているようです。

 

「事業の中心となる専門的な能力があれば、事業を経営する能力は十分に備わっている」

 

これは決してイコールでない、専門能力である「職人気質」と「経営能力」はイコールではないということですね。

 

起業家はカッコいい、という美化像により、勢いで起業してしまい、経営者に必要な能力がないまま起業して失敗する人が多いという、著者のメッセージです。

美化像だけで起業すると、失敗するということですね。

 

〇「起業家」「マネジャー」「職人」 ―3つの人格

二つめは、“3つの人格”がキーワードです。

 

起業家―変化を好む理想主義者

ささいなことにも大きなチャンスを見つける才能を持った人。将来のビジョンをもち、周囲の人たちを巻き込みながら、変化を引き起こそうとする人物こそが起業家である。

また、起業家とは未来の世界に住む人でもある。決して過去や現在にとらわれることはない。起業家は「次に何が起きるだろうか?」「どうすれば実現できるだろうか?」といった問題を考えるときに幸福を感じる。起業家は革新者であり、偉大な戦略家である。そして新しい市場を創り出すための方法を発明する。

起業家の人格とは、私たちの中の創造的な部分である。

長所:未知の分野への取り組み、時代を先取りした行動、わずかな可能性への挑戦

短所:「管理」が苦手、空想の世界に住む人なので、現実世界の出来事や対人関係は誰かのサポートが必要になる

 

マネジャー -管理が得意な現実主義者

管理が得意な実務家。マネジャーがいなければ、計画さえ立てられずに、事業はたちまち大混乱に陥ってしまう。

起業家が未来に住む人であれば、マネジャーは過去に住む人である。起業家が変化を好むのに対して、マネジャーは変化を嫌う。目の前の出来事に対して、起業かはチャンスを探そうとする一方、マネジャーは問題点を探そうとする。

起業家の理想主義に対し、マネジャーの現実主義。しかし、大きな成功を生むためには、この二つの人格を協力させることが必要。

 

職人―手に職を持った個人主義者

職人とは、自分で手を動かすことが大好きな人間である。

「きちんとやりたければ、人に任せず自分でやりなさい」これが職人の信条である。職人にとって、仕事の目的は重要ではない。手を動かして、モノを作り、その結果として目的が達成されれば満足なのだ。起業家が未来、マネジャーが過去とすると、職人は“現在”を生きる人である。モノに触れて、つくりあげることが大好きで、決められた手順に従って仕事をしているときに、幸せを感じるのである。

難解な理論や抽象的な概念に対して懐疑的である。他の人格は、職人の邪魔をしてばかりである。起業家はいつも新しいだけで役に立たないアイデアを吹き込み、仕事の手をとめようとする。本当なら、起業家が新しい仕事を考えて、職人がそれを実現させるという役割分担が成り立つはずだが、うまく機能していない。

職人にとって、マネジャーの人格もやっかいである。マネジャーは職人を管理し、仕事での個性を否定しようとするからである。職人にとっての仕事、名人芸を発揮する場である。しかし、マネジャーにとって仕事とは、小さな結果を積み重ねたもの。マネジャーにとって、職人は管理すべき対象、職人とマネジャーの二人の意見は一致しないが、起業家がトラブルの原因であることは共通の認識となっている。

 

 

 

私たちの誰もが、この3つの人格をあわせもっており、3つのバンスがとれたときに、驚くような能力を発揮するようです。

 

しかし多くの経営者とたずさわってきた著者は、起業した人の中でこの3つの人格をバランスよく備えている人はほとんどいないと言います。

 

典型的なスモールビジネスの経営者の割合は、10%が起業家タイプ・20%がマネジャータイプ・70%が職人タイプであるようです。

 

私たちの中には3つの人格が備わっており、そのうち“職人”タイプが強い人が起業すると失敗する可能性がある、が著者のメッセージです。

 

起業を志す私にとって、グサーっとくるメッセージでした。

 

著者に登場する、パイ作りで起業した「サラ」という女性、“起業熱”を持った“職人タイプ”であり、最初は起業に対して熱意をもってやっていたが、ただパイ作りをしていたかっただけのサラは、朝の準備や会計、お金のやりくりのための夜遅くまで帳簿をつけ…など、まさに上記の起業失敗例の主人公、として紹介されます。

 

なんだか、起業の疑似体験をしているような気分になります。

 

ただ逆を言うと、起業に必要な“起業家”と“マネージャー”の人格を養うには、どんな能力を磨いていくのか?どのようなところに気を付けていけば良いのか?といった紹介があり、どんどん読み進めていける面白い内容となっています。

 

 

次回、また読書評の続きを書いていこうと思います。