脳を最適化すれば能力は2倍になるby樺沢紫苑を読んで③ ノルアドレナリン

2018年12月9日

 

脳内物質には、重要な7つのホルモンがあり、それぞれのホルモンはエヴァンゲリオンのキャラクターで当てはめて覚えることができる、そしてそれぞれのホルモンには効果がそれぞれあり、偏って分泌されていると病気や依存症になる可能性があり、バランスが大事であると書きました。

 

その中でも、前回はドーパミンについて書きました!

 

※前回の記事:脳を最適化すれば能力は2倍になるby樺沢紫苑を読んで②  http://harajinjapt.info/2018/12/03/post-320/


本日は、重要な7つの脳内物質の1つ、ノルアドレナリンについて書いていきます。

 

ノルアドレナリン仕事術

「適度な緊張」で、ノルアドレナリンは分泌される

〇「闘争と逃走のホルモン」と呼ばれる由縁

叱責によって集中力を高める心理テクニックは、広く知られていると思います。脳科学的に言えば、これは「ノルアドレナリン」の効果と言えるでしょう。

ノルアドレナリンは、アミノ酸を原料に生成される「カテコールアミン」の一種で、ホルモンとして「副腎髄質」から血液に放出されます。副腎とは腎臓の隣にあるホルモンを分泌する器官で、副腎髄質はその一部です。

またノルアドレナリンは、シナプス伝達の間に「ノルアドレナリン作動性ニューロン」から放出される神経伝達物質でもあります。脳幹(橋)にある神経核の1つである「青斑核」から、視床下部、大脳辺縁系、大脳皮質などに投射して、注意・集中、覚醒、判断、ワーキングメモリ、鎮痛などの脳の働きに関連しています。

 

P93の図を参考に作成

 

ノルアドレナリンの効果は、「闘争」と「逃走」、どちらにせよ瞬時に決断し、すぐに動けることが大事であるため、心拍数を直接増加させるように交感神経系を動かし、脂肪をエネルギーに変え、筋肉の素早さを増加させる働きがあります。

 

著書の中で、原始時代の人間を例に取り上げております。

原始時代、人間や野山を歩いているときに突然、サーベルタイガーに出会ったとします。その時、命の危機を感じる出来事なので、「危険」と判断し、「闘う」または「逃げる」のどちらかの選択が迫られます。こういう事態にノルアドレナリンが分泌されることで、心拍数は高まり、脳や骨格筋に血液がいきわたり、「闘う」「逃げる」どちらの選択でも瞬発的な行動がとれるように脳と身体を準備状態に持っていくのが、ノルアドレナリンの役であるそうです。

危機的状態にも瞬時に対応できるメカニズムが備わっているのですね。

ノルアドレナリンの分泌によって、覚醒度と集中度がアップするそうです。

 

スポーツの大会を思い出すと、4年に1度のオリンピックの選手など、緊迫した状態がかえって集中力が増すのは、ノルアドレナリンの効果がありそうですね。

 

〇「ストレス」の使い方で、集中力は高められる

著書の中で、あるセミナー講師の方の話が例に挙げられます。

セミナー中、あえて「コラ!」と突然怒り出して受講者に「威圧感」と「恐怖感」を与えながら進めていく講師がいるそうで、緊迫感を演出することでノルアドレナリンの分泌、集中力が研ぎ澄まされるそうです。そして、理解度や定着度がアップして研修内容が身につくそうです。ただ、ずっと「叱責」を続けていると受講者が慣れてしまうそうで、基本的には満面の笑みでニコニコされているそうです。

つまり、「叱責」だけでなく、ここぞというときに「叱責」を取り入れ、緊張感を作り研修の定着度をあげる。

これは部下の指導にも活かせるテクニックであるそうで、「叱責」と「ほめ」を使い分ける、そして叱責が「恐怖(=ストレス状態)」を与えることにより、ノルアドレナリンが分泌されるそうです。

恐怖より軽いストレスでも、ノルアドレナリンは分泌されます。例えば会議の最中に、いきなり誰かを指さして意見を求めると、他の人も「次は自分が指されるのでは…」と少しハラハラします。この程度のストレスでも、ノルアドレナリンが分泌され、覚醒度と集中力が高まるのです。

 

ノルアドレナリンは「短期集中」「一発逆転」

〇「締め切り仕事術」で、仕事効率を大幅にアップ

いろいろな「仕事術」の本を読みますと、「締め切りを設定すると、仕事効率が大きくアップする」といったことが書かれています。昔から「窮鼠猫を噛む」「背水の陣」と言われるように、限界状況に追い込まれた人間は、ポテンシャル以上の実力を発揮するものです。じつはこうした反応も、ノルアドレナリンと深く関わっています。

 

夏休みの宿題が、なぜ残り1日や残った数日で片付けることができたのか。

精神的に追い込まれた時、「明日までにプレゼンで使う資料を作成せねば」、「勉強会の資料、発表の準備をしなければ」という状態、できなければ上司に怒られる、周りに迷惑がかかる、という緊張感、締め切りが迫った状態ではストレスがかかります。最初の、原始時代の人間の恐怖ほどはなくても、適度なストレス(怒られるかもしれないという小さな恐怖)が、緊迫感や緊張感に支配され、ノルアドレナリンが分泌され、結果注意力や集中力が高まり仕事がはかどるとのことです。

仕事をするうえで、漫然と取り組まず、自分の中で器官や時間を設定することで、締め切りによる「注意力」「集中力」アップの効果が期待できます。

 

〇「ノルアドレナリン仕事術」は短期集中型

上司が部下の失敗を厳しく叱れば、部下の身も心もピシッと引き締まり、上司の言わんとすることに耳を傾けます。しかし、これが毎日のように叱ってばかりだと、部下はどのように思うのでしょうか?

「また今日もカリカリしているなあ…」そんな風にしか感じなくなります。態度は神妙でも、心の中では「またか」「適当に流しておこう」と思っているに違いありません。このようにノルアドレナリン仕事術は、「慣れ」の効果が出やすいのです。

 

ノルアドレナリンは、「闘争」か「逃走」のホルモンですから、昔で言うと原始時代に人がサーベルタイガーと遭遇した時のような“緊急時”に分泌され、そして現代では上司からの「叱責」や、締め切り間近に感じる緊迫感でパフォーマンスアップにつながります。

しかし、緊迫した状態が長期的に半年~1年続くのは無理がありますよね。それこそ病気になります。ノルアドレナリンの効果は、短期間限定で行う、使い分けることが良さそうですね。

 

ノルアドレナリンとドーパミンを使い分ける

人間の行動のモチベーションには2つあります。「不快なことを避ける」と「快適なことを求める」です。

・ノルアドレナリン型モチベーション…「恐怖」や「不快」や「叱られること」を避けるために頑張る

・ドーパミン型モチベーション…「楽しさ」「ご褒美」「ほめられるなど」の報酬を求めて頑張る

 

子供の勉強に当てはめれば、「親や先生に叱られないために頑張る」のがノルアドレナリン型モチベーション。「親や先生にほめられるために頑張る」のがドーパミン型モチベーション。両者は、似て非なるものなのですね。

 

P106図を参考に作成

 

 

この、ノルアドレナリンとアドレナリンの例えは、凄くわかりやすいですね。

「ほめる」と「叱る」は、どちらをやればいいのか?どっちが部下に良いのか?と質問

・議論されることは多いですが、どちらも大事であり、脳内物質とその効果から考えると、長期的には「ほめる」を優先、ほめて伸ばすことを意識し、「叱責」したいときは短期的にだけ「叱る」が有効といえそうです。

 

後輩指導にも、子育てにも当てはまりそうですね。

 

「記憶力」と「うつ病」の意外な関連

〇ノルアドレナリンは「記憶力」にも影響する。

ノルアドレナリンはストレス反応以外にも、脳内で非常に重要な役割を担っています。それは、「ワーキングメモリ」です。

ワーキングメモリというのは、いわば「脳のメモ帳」です。ごく短時間、一時的に情報を蓄えておくスペースとイメージしたらいいでしょう。脳はそこに「情報」を並べて、作業を行っていると考えてください。

 

このワーキングメモリを司るのは、ちょうど額の裏側にあたる場所にある「前頭前野」と呼ばれる部位です。前頭前野は、人間の脳で最も発達している部位であり、大脳皮質の約30%を占めています。高度な脳活動をすることで知られる類人猿でも、前頭前野の割合は10%以下に過ぎませんから、人間が圧倒的に多いことがわかります。それだけに前頭前野は、「人間の人間らしさを司る部位」とも言われます。

 

人の理性を司っているとも言われる、前頭葉の機能、「思考する」や「行動を抑制する」、「感情を制御する」など、人間が人間たらしめる部分であります。

そして、この前頭前野にはドーパミンやセロトニンなどの神経分布もあり、ノルアドレナリンはドーパミンと並び、ワーキングメモリと関係しているそうです。

適度なノルアドレナリンは適度な興奮によりワーキングメモリの働きを助けるが、過度なノルアドレナリンは過緊張の状態を促しワーキングメモリは働かなくなってしまう。

ノルアドレナリンの活性の度合いでワーキングメモリの働き方が変わってくる、重要なのはストレスであり、適度なストレスがノルアドレナリンの分泌によりワーキングメモリの働きを助けます。つまり、ワーキングメモリが活発になることで頭の回転を速め、仕事の効率や質を上げる効果が期待できるそうです。

ノルアドレナリンは、仕事に影響するため、「仕事脳」の脳内物質といわれてるそうです。

 

脳に関する本を数多く発表されている東邦大学の有田秀穂教授は、「ドーパミンは学習脳、ノルアドレナリンは仕事脳、セロトニンは共感脳」と表現しています。

 

〇うつ病について

うつ病の症状は、「意欲が出ない(意欲低下)」と「気分が落ち込む(抑うつ気分)」の2つがあり、うつ病の初期段階でははっきりしないそうです。

それに対して「注意力と集中力の低下」は、うつ病の初期から多くの患者さんに認められるそうで、ノルアドレナリンの活性が低下し、記憶を一時的に保存するワーキングメモリの働きも低下するため、ミスが認められるとのこと。

私にも、社会人1年目の時にこの経験があります。今でこそ慣れたとはいえ、最初の1年目で、初めて経験することが多いこと、先輩や上司に気を遣うこと、多くなる仕事、患者さんと向き合う中で分からない事ばかりで、持続的なストレスにより、あとで振り返ってみると普段ありえないようなミスや記憶忘れが目立っていました。

ストレスがかかったときに分泌されるノルアドレナリン、ストレスが持続していると、「出っぱなし」の状態になり、その状態が続くことで枯渇してしまうそうです。

適度なバランスが大事でありそうです。

 

図 P117を参考に作成

 

慢性的なストレスは、ノルアドレナリンにもセロトニンにも影響するため、「あ、ストレスがかかってるなー、たまにはリラックスしなきゃな」と、仕事に根詰めすぎないように、自分を守るためにも必要そうです。

脳内物質の生成や分泌には個人差があります。同じ職場に勤めて同じストレス下におかれていても、ノルアドレナリンやセロトニンを出しやすい人もいるし、逆に出しづらい人もいます。激務に追われてストレスがかかりやすい職場でも、うつ病になる人もいれば、ほとんど影響されない人もいるのは当たり前です。そうした職場でうつ病になると、上司から「ダメ人間」「怠け者」であるかのように罵倒されることがあります。全くおかしな話です。

 

 

ノルアドレナリンについて、大変勉強になりました。

 

今日も学びをありがとう。